深圳は「中国のシリコンバレー」とも称されるハイテク産業の集積地であり、未来都市の姿を先取りする街です。日本ではなかなか体験できない、先端技術が日常生活や都市運営に深く溶け込んだ実例を厳選し、10のテーマ別コースとしてご紹介します。
1. 電子決済とキャッシュレス社会体験コース
深圳は世界で最もキャッシュレスが進んだ都市の一つです。このコースでは、WeChat PayやAlipayを利用して、路店での買い物から地下鉄やバスの乗車、レストランでの会計まで、一切財布を出さずに生活することを体験します。日本のクレジットカード文化とは異なる、QRコード一本で完結する決済の利便性と浸透度を体感できます。
2. モバイルライフとスーパーアプリ徹底活用コース
WeChatという一つのアプリで生活のほとんどがまかなえる深圳のライフスタイルを探求します。チャットやSNSだけでなく、公共料金の支払い、病院の予約、政府への申請、配車サービス、フードデリバリーまで、すべてWeChat内で完結する「All in One」の世界を体験し、モバイルファースト社会の最先端を学びます。
3. ハイテク製造業の聖地・華強北電子市場探索コース
「世界の電子部品のスクランブル交差点」である華強北商業地区を巡ります。無数の店舗に積まれた電子部品からドローン、ロボットまで、あらゆる電子機器やその部品が即座に調達できる光景は、深圳のハードウェア革新のスピードの源泉です。Makerやスタートアップが製品のプロトタイプを一瞬で作り上げられる環境を目の当たりにします。
4. 未来交通システム体感コース
深圳の公共交通機関は完全に電化されており、バスは100%電気バスです。このコースでは、整備された電気バス網と地下鉄網を体験するとともに、自動運転技術の実用化事例を見学します。また、BYD本社などを訪れ、中国を代表するEV(電気自動車)メーカーの技術力に触れることで、自動車産業の未来像を考察します。
5. スマートシティ管理センター見学コース
深圳の都市運営の頭脳とも言える「都市運営管理センター」や「交通管制センター」を見学します。市内に張り巡らされた無数のセンサーやカメラから集められたビッグデータをAIが分析し、交通渋滞の解消、公共安全の確保、災害対応などをリアルタイムで行う「都市脳」の実態を学び、未来の都市管理のモデルを理解します。
6. ドローン産業最前線視察コース
世界最大のドローンメーカーDJIの本拠地である深圳ならではのコースです。DJIの旗艦店で最新ドローンを体験操縦したり、関連企業を訪問したりすることで、物流、測量、警備、エンターテインメントなど、多岐にわたるドローンの実用化事例とその将来性について深く知ることができます。
7. ロボットサービス実用化体験コース
深圳のレストランやホテル、商業施設では、配膳や案内、清掃を行うロボットがすでに一般的です。このコースでは、ロボットが提供するサービスを実際に体験し、日本ではまだ実験段階のものが深圳では如何に日常的にビジネスとして成立しているかを観察します。サービス業の未来の労働形態を考えるきっかけとなります。
8. 5GとIoTが創るスマートホーム/オフィス見学コース
深圳は5G通信の普及が進んでいます。Huaweiなどの通信企業が展示する未来の生活空間や、実際に5GとIoTを駆使したスマートホーム、スマートオフィスを見学します。家電や設備が全てネットワークでつながり、AIによって最適制御される生活の利便性と、それを支える技術基盤を理解します。
9. ハードウェア・スタートアップエコシステム視察コース
深圳の強みは、アイデアを素早く製品化できる「ものづくり」のエコシステムにあります。シリコンバレーとは異なる、製造業に強固に立脚したスタートアップ支援施設(インキュベーター)や、プロトタイピングを専門に請け負う工房を訪問し、ハードウェアスタートアップが爆発的に成長する土壌を考察します。
10. 再生可能エネルギーとスマートグリッド見学コース
深圳は環境技術にも力を入れており、市内のバス・タクシーの電化に加え、太陽光発電やスマートグリッド(次世代送電網)の導入が進められています。このコースでは、大規模な太陽光発電施設や、電力の需給を最適化するスマートグリッドの制御システムについて学び、大都市の持続可能なエネルギー戦略を考えます。